2021/12/6
あけぼのインタビューvol.3
「日本のものづくり応援メディア あけぼの」第3回目は、常滑焼一筋28年の藤田徳太さんにお話を伺いました。
愛知県常滑市セラモール内の「方円館」にて開催された個展の作品とともにご紹介します。
特には考えていないです。多少あるのかもしれないけど、自分は現代に生きているので、過去の物をコピーするということは、意識していません。どちらかと言うと、自分が今作っている物が、現代に受け入れられるのかな、どうなんだろうという疑問は常にあります。
現代に合わせるというのは、特にそこはあまり考えていません。洋服の流行と一緒だと思うんですけど。僕が色々なところに行ってそういう情報収集しているかというとできていません。テレビやSNSを自分なりに考えて昇華してやっています。
楽しい物作りが出来たらいいなと思います。形のない状態から形に起こす錬金術のようなことを、釉薬や土のテストを通じて行っています。趣味の延長みたいなものなのでこの仕事って。なので、具体的にどうというよりも、楽しい物作りができたらいいなと思います。
まず、物を作るのがとても好きな人。また、辛抱強い人とかだと思います。やっぱり焼き物が完成するまでに工程が多いですから、ある程度根気がないとできない作業です。それと技術的にも時間がかかります。個人差はありますが、習得するまでの時間がそこそこかかるので、そういう部分で根気がいります。
物作りの世界は、現実は厳しい世界ですが、普通では得られないことがきっとあると思うので、それが続けられている理由のひとつです。僕の器を使ってくれて、「すごく楽しい」などのささいな言葉だったり、知らない人がSNSで作品をあげてくれたりして、自分が0から作ったものを気に入ってくれる人がいます。そこはやらないと分からないことなので、そういう部分では面白い仕事だと思います。若いうちは駄目だと思ったら軌道修正できます。僕の年齢になると、28年やってきてその他のことができないので、もう腹をくくってやっています。僕は25歳、30歳のときに2回、向いていないからやめたほうがいいと思ったことがありましたが、何とかなっています。
福岡県北九州市に生まれる。工業高校を卒業した後、常滑市立陶芸研究所に入所。全国各地にて個展・企画展に参加し、各賞を受賞している。