2021/12/6
あけぼのインタビューvol.3
「日本のものづくり応援メディア あけぼの」第3回目は、常滑焼一筋28年の藤田徳太さんにお話を伺いました。
愛知県常滑市セラモール内の「方円館」にて開催された個展の作品とともにご紹介します。
父が趣味で陶芸をしていたので、その姿を見たり、ろくろを体験させてもらったりしていました。地元の福岡県では、工業高校に通っていました。進路の選択の時、単純にそのまま就職したくないという思いから、焼き物をやってみようかなとシンプルな発想で思いつき、陶芸の学校を探して、18歳で常滑陶芸研究所 に入りました。
それから28年陶芸をしています。これだけしかやったことがないです。
常滑は、急須が有名ですが、実は灰釉(はいゆう)といわれる釉薬を主に使った作品が多いのが特徴です。灰釉を上薬として使った作品は、高温で焼くと木灰が溶けていってグリーンになり、「ビードロ釉」と一般的に言われています。灰の中には、例えば樹木の種類によって鉄分を含む量が違うので、調合によって、焼き上がりが大分変わってきます。
釉薬を販売する会社もありますが、それじゃあつまんないですから、全部自分で調合しています。プロとして価値をつけるじゃないですけど、普通の人が出来る物を作っても意味がない。ですから、土から全部自分でチョイスして、調合して、最終的にこういう形にしています。
常滑の町は、伊勢湾に面しているため、青い海をイメージして、砂や貝がらを材料に取り入れて焼いてみました。こういうスカーっとした作品もありかなと思って。自分自身の作品で、毎回一緒っていうのも、ちょっとつまんないので、今回ガラっと変えていこうかなと思って。前にもこういう釉薬は使っていましたが、再度やろうかなと思い一から調合を組み立て直しました。本当は、昨日はもっとあったのですがね。(大好評で作品はファンの皆様の元へ)
量産品よりは、僕のやつは高いんですよね。でも、びっくりするほど高くないのは、やっぱり使ってもらいたいという思いからです。食卓をちょっと彩りよくしたい。よそ行きの服着ると、気分もいいでしょ。食事って、衣食住って大切なことなので、そのための道具としてより多く使ってもらえて、なおかつ割れたら残念ですけど、その時にはまた買って使ってもらえる値段設定でと考えています。妻に「いくらだったら買う?」と一緒に考えています。
これはさすがに手間がかかっているという物は、ちょっと強気の値段でやっていますけど、でも自分のやつはそんなに高くはないと思います。高い安いは、その人の価値観だから一概には言えないのですが。
こだわりとしては、扱いやすさと主張しすぎないような器がいいなと思います。好みになってきますが、金ぴかの作品は僕の趣味ではないんで、飽きないような、また使いたくなるような物作りがしたいなということです。
福岡県北九州市に生まれる。工業高校を卒業した後、常滑市立陶芸研究所に入所。全国各地にて個展・企画展に参加し、各賞を受賞している。